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本当の心の声に従う

 自分の本当の気持ちを言うのは、時には難しい事がある。みんなと意見が違う時もある。自分でどれにしようか迷う時もある。そんな時は、本当の自分の心に問いかけてみる。

 子供の頃の感覚で、昔話の主人公は、特別なヒーローだった。桃太郎は、川上からどんぶらこっこと流れてきた桃から産まれて来る。桃の中から出てくるということは、梅干しで言えば、種のところ、つまり天神さんと呼ばれているところである。きっと、神様か何かに違いないと、何となく感じていた。その桃太郎が、大きくなって、皆を苦しめる鬼を退治してくれる。なるほど、悪い事、皆が嫌がることをしたら、正義の味方に成敗されるものなのだ。

 子供ごころに、正義の味方とまではいかないが、正しい子でありたいと思ったような気がする。何が正しいのかをどうやって判断したか、今となっては覚えていない。ただ、友達が転んだら、自分も痛みを感じた。お母さんが忙しそうにしていたら、自分もお手伝いしなくちゃいけない気持ちになった。子供なりに、そんな情報から、何となく自然に何が正解か分かった気がする。

 ただ、自分の正義を貫けない場合がある。個性とか主義とか表現されるものが、反する時もある。宿題をしなくてはいけないのに、疲れて寝てしまうなんて、不本意な結果に終わることもある。そんな時心の中で、悪い気持ちが芽生えることがある。その気持ちと、向き合うことが、本当に正しい答えに辿り着く方法なのではないか。桃太郎になりきって、いかに成敗するかを考えてみるのもいいかもしれない。

 私たちは、この一瞬を、常に選択しながら生きている。迷った時は、自分の心に問いかけてみる。純粋な心の声が「こっちだよ。」と応えてくれるから。

住職 東島礼美
 佛教大学文学部卒業
 平成16年 天衣寺専門道場掛搭
 平成20年 寳蓮寺住職拝命

寺の起こりは大和政権の頃、相州足柄上郡・秦、五大尊まで遡る。

覚王山安明院国分寺(相模国分寺)として、元慶3年より261年の間、その役目をはたす。
以後修験の道場として有名である。

寛文9年(1669)臨済宗建長寺派薬音寺を廃寺とし、同じく建長寺派寳蓮寺として統合され今日に至る。

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