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この桃太郎という物語、お話しの切り口はいくつかありますね。

例えば、村の平和のために悪者を懲らしめるという物語、または強大な敵に対しても仲間と協力して打ち勝つという物語。また、自分ならこうするだろうな、もうちょっと違うやり方があるのかな?とも考えさせてくれる物語でもありますね。 例えば刀で切ったり噛んだり突っついたり引っ掻いたりしないでも、なんとか鬼たちに悪さをやめさせる事はできなかったのかな?桃太郎に退治された後、鬼たちはどうなったかな?とか。 更に、本当は平和に楽しく暮らしていた鬼たちの所に攻めてきたのが・・・なんてお話を想像したりと、一つの物語でいろんな考え方が出来ますね。

でも、ここでは鬼は悪者だった、桃太郎は正義の味方だったという前提で考えてゆきましょう。

なぜ鬼は人間から宝物を奪う事ができたのでしょうか?なぜそんな鬼に桃太郎が勝つ事ができたのでしょうか? それは桃太郎も鬼も普通の人間よりもずっとずっと強かったからでしょう。 鬼は強い力を持っていたからこそ、無理やり村から物を奪ったり、人をさらったりしました。そして、桃太郎はもっと強い力を持っていたから鬼を退治する事ができました。

桃太郎と鬼、普通の人間には無い強い力を持った両者の明暗を分けたのはなんだったのでしょうか? ここのところを一度よく考えてみて下さい。「いやいや、桃太郎や鬼みたいに強くはないよ。」と言う方もおられるかと思います。 何も、そんな腕力ではなくとも人は力を得る事ができます。例えば車の運転。より遠くまでより速く、どこかへ行くのにとても便利な反面、何トンもある車を動かす訳ですから運転を誤ったり荒い運転をすれば簡単に人を傷付けてしまう事になります。

ネットをはじめソーシャルメディアも同じですね。今までには得る事ができなかった情報や知識を得たり、逆に情報を発信したりできますが近年はネットを悪用した犯罪や、顔の見えない者同士で誹謗中傷を拡散させ人を傷つける事件が起きてしまっています。

この様に、どんなに強い力を得ても、便利な道具を持っても、それには使う人の理性や道徳心によって大きく変わってしまうと言う事です 。

さて、あなたは『力』を得た時、その『力』をどう使いますか?

建長寺派 法眼寺 鈴木永真和尚

神奈川県横浜市出身 酪農学園大学卒業 家畜繁殖学専攻 ペット商社~身辺警護員(ボディーガード)~横浜港の港湾労働者を経て先住 山口春岳師の元、出家得度 廣園寺専門道場掛搭

かつては仁科の安城山麓にあった法眼庵という小さな庵でしたが、海濤により大破、荒廃しました。 享保年間にこの地を修行で通りかかった僧・幽厳が法眼庵と堂ヶ島の走嶋山長平寺の荒廃を嘆き、二院を合併して正島山法眼寺としました。 時代は変わりまして現在は様々なご職業の檀家様に支えて頂いておりますが、前身の法眼庵から数えますと約四百年の間、この西伊豆・仁科の海で働く方々の安全と繁栄や幸福の為の鎮守の寺として今日に到ります。

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